バターとマーガリンの違いはなに?よくある質問も併せて詳しく解説

乳製品の話

バターとマーガリンの違いはなに?よくある質問も併せて詳しく解説

バターとマーガリンの歴史

インドの古代経典には紀元前2000年頃、バターらしきものを作っていたとする記録が残されており、古い歴史を持っていることがわかります。


最初、バターは医薬品や化粧品として使用され、食用としての利用が始まったのは紀元前60年頃からだといわれています。


一方、マーガリンは1869年にフランスで生まれました。


当時フランスは、隣国プロシアとの戦争でバターが不足していたため、ナポレオン3世がその代用品を募りました。


それに応えた化学者メージュ・ムーリェが、牛脂と牛乳を混ぜて冷やし固める製法を考案したことがマーガリンの始まりです。


バターとマーガリンの違いを解説!

ここでは、次の項目からバターとマーガリンにはどのような違いがあるかを解説します。


  1. 基準
  2. 原料
  3. 製造方法
  4. 栄養成分
  5. 風味(味)
  6. 値段
  7. 賞味期限

基準

バターとマーガリンは、それぞれ定められた規則による基準で作られています。


  • バター:乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(乳等命令)
  • マーガリン類の食品表示基準

バターは乳等命令で「乳脂肪分80.0%以上、水分17.0%以下」と定められています。


そして、この規格を満たさないものは「乳等を主要原料とする食品(乳主原)」になります。


一方、マーガリンは、食品表示基準で「食用油脂(乳脂肪を含まないもの又は乳脂肪を主原料としないものに限る)に水等を加えて乳化した後、急冷練り合わせをし、又は急冷練り合わせをしないで作られた可そ性のもの、又は流動状のものであって、油脂含有率(食用油脂の製品に占める重量の割合をいう。)が80%以上のもの」と定められています。


また、油脂含有率が80%未満のものは「ファットスプレッド」に分類されます。


原料

「基準」で解説したとおり、バターとマーガリンの主原料は異なります。


  • バター:生乳もしくは牛乳から製造される
  • マーガリン:食用油脂(植物油脂や動物性油脂)から製造される

マーガリン類は、コーン油、大豆油、パーム油、なたね油などに乳や乳製品、食塩にビタミンA、乳化剤、着色料などさまざまな原料を加えて作られています。


原料の違いによって異なる点には、マーガリンは原料の組み合わせ次第で、固さや風味の違う商品を生み出せるということも挙げられるでしょう。


製造方法

バターは、生乳や牛乳※から乳脂肪分を分離し、撹拌(かくはん)・凝集(ぎょうしゅう)させて作られます。


一方、マーガリンは食用油脂に水、食塩や乳製品、ビタミンなどを加えて混合乳化した後、冷やし固めて作られます。


※生乳と牛乳:しぼったままの牛の乳(ミルク)が「生乳(せいにゅう)」、生乳を加熱殺菌したものが「牛乳」


栄養成分

日本食品標準成分表2020年版(8訂)に記載されているバターとマーガリンの栄養成分は以下のとおりです。


バター・マーガリンの栄養比較(100gあたり)


  有塩バター マーガリン
エネルギー 700kcal 715kcal
水分 16.2g 14.7g
たんぱく質 0.6g 0.4g
脂質 81.0g 83.1g
炭水化物 0.2g 0.5g
カルシウム 15mg 14mg
ビタミンA(レチノール活性当量) 520μg 25μg
ビタミンB1 0.01mg 0.01mg
ビタミンB2 0.03mg 0.03mg
食塩相当量 1.9g 1.3g

バターとマーガリン類の栄養比較を見ると、一般的にはバターのほうがビタミンAを多く含むとされていますが、実際には製品によって異なる場合があります。


そのため、双方の栄養成分は大きく変わらないといえるでしょう。


風味(味)

バターは主原料が牛乳であり、牛乳特有の芳醇な香りとクリーミーで濃厚な味わいが特徴です。


そのリッチな風味は、料理やお菓子に深みを加えます。


一方、マーガリンの主原料はコーン油、大豆油などの植物油脂で、あっさりとした味わいが魅力です。


軽めの風味が好まれる場面や、さっぱりと仕上げたい料理に適していると言えます。


値段

バターとマーガリンは原材料が異なるため、価格も異なります。


これは、バターの原材料である牛乳よりも、マーガリンに使用される植物油脂の方が安価なことから、マーガリンの方が安価に製造できるためです。


「料理に使う材料費はなるべく安く抑えたい」という場合は、バターよりもマーガリンを選ぶことが多いようです。


一方で、バターのコクや風味が重要なフランス料理や焼き菓子などを作る場合には、バターを使うことで独特の香りやうまみを引き出せます。


バターには乳脂肪特有の甘い香りと深みがあり、マーガリンでは代用しにくい豊かな味わいを生み出すため、本格的な味わいを求める人はバターを選ぶことが多いでしょう。


賞味期限

マーガリンは、植物油脂が原料の精製加工油脂が使用されているため、品質劣化に強くバターよりも賞味期限は長めです。


未開封の状態だと、バターが約6か月、マーガリンが約8か月~9か月とされています。


ただし、賞味期限はあくまで「未開封の状態でおいしく食べられる期限」であるため、一度開封したものはできるだけ早めに使い切りましょう。


バターとマーガリンに関するよくある質問

次は、バターとマーガリンに関するよくある質問を解説します。


  • バターとマーガリンはどっちが体に悪いの?
  • バターとマーガリンはどっちが太る?
  • マーガリンをバターの代用として活用できる?

以下で、それぞれについて詳しく解説します。


バターとマーガリンはどっちが体に悪いの?

バターもマーガリンも、摂り過ぎは体に悪いです。


双方には、血液中のLDLコレステロールを増加させる可能性がある成分であるトランス脂肪酸が含まれています。


バターには生乳の中に含まれる天然由来のトランス脂肪酸、マーガリンには油脂を加工・精製する工程でできるトランス脂肪酸が含まれています。


WHO(世界保健機関)では、「健康を増進するための目標として、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー比1%未満に抑える」と提示しています。


日本人においては、通常の食生活での脂肪摂取量が多くないため、もともとトランス脂肪酸の摂取量が総エネルギー比の1%未満となっており、トランス脂肪酸の摂取量についてそこまで気にする必要はありません。


また、かつてマーガリンにはトランス脂肪酸が多く含まれていましたが、現在ではバターよりもトランス脂肪酸を低減したマーガリンもあり、一概にどちらが体に悪いかを決めることはできません。


バターとマーガリンはどっちが太るの?

バターとマーガリンのカロリーには、大きな違いはありません。


いずれも食べ過ぎれば太る可能性があります。


バターやマーガリンを料理に使う際は、適量を意識してください。


マーガリンをバターの代用として活用できる?

用途によっては風味や物性、見た目などに違いが生じますが、代用することは可能です。


バターで作るお菓子はコクのある仕上がりになり、マーガリンだとあっさりとした仕上がりになるため、お好みで選ぶと良いでしょう。


しかし、よつ葉乳業ではバター本来のコクや風味を楽しんでいただくために、マーガリンではなくバターの使用をおすすめしています。


よつ葉乳業のおすすめのバターを3つ紹介!

次はよつ葉乳業がおすすめするバター」を3つ紹介します。

よつ葉パンにおいしいよつ葉バター

よつ葉パンにおいしいよつ葉バター

北海道産の良質な生乳でつくったバターに空気を混ぜ込み、ホイップし、冷蔵庫から出したばかりでも、バターナイフが入りやすい固さにしました。


こんがり焼いたパンにたっぷり塗れば、くちどけのよい軽い食感とバターのほどよい塩味、ミルクのやさしい風味が一体となって、パンの香ばしさをより一層引き立てます。


コンパクトで可愛らしい容器入りで、手軽に使え、冷蔵庫への出し入れも簡単です。


よつ葉パンにおいしいよつ葉バター(100g)|【公式】よつ葉乳業オンラインショップ


よつ葉伝統造りバター〔ビン入り〕

よつ葉伝統造りバター〔ビン入り〕

北海道産の生乳を原料に、バターチャーン※を使った伝統的な製法でつくり上げました。


すっととろけるなめらかな口当たりと、上品でまろやかな味わいが特長のバターです。


加塩タイプであるため、バター本来の甘みだけでなく、ほどよい塩味がパンのおいしさをより一層引き立てます。


よつ葉伝統造りバター〔ビン入り〕(113g)|【公式】よつ葉乳業オンラインショップ


※チャーンと呼ばれる装置に生クリームを入れ、回転させることで激しく撹拌。バター粒と残りの成分(バターミルク)を分離させる製法


よつ葉ポンドバター食塩不使用

よつ葉ポンドバター食塩不使用

北海道産の良質な生乳を100%使用。ミルクの風味と豊かなコクをぎゅっと濃縮した業務用バター(食塩不使用)です。


バターならではの豊かなコクと香りが口いっぱいに広がり、パンやお菓子作りに重宝します。


よつ葉ポンドバター食塩不使用 450g(ポンドバター)|【公式】よつ葉乳業オンラインショップ


また、大容量のバターを使いきれるか不安という方は冷凍保存がおすすめです。


バターは冷凍保存が可能なので、サイズが大きいものは小分けして冷凍すると、必要な分だけ取り出して長く使うことができます。


バターの冷凍保存方法については、下記の記事を参考にしてください。


バターは冷凍庫で保存できる!保存の手順や賞味期限についても解説! |【公式】よつ葉乳業オンラインショップ


よつ葉乳業のバターを使ったレシピ

おうちでできる!北海道♪バターサンド

一つ目のレシピは「北海道バターサンド」です。


おうちでできる!北海道♪バターサンド

たっぷりのバターを使った上品でちょっぴりリッチな味わいが楽しめます。


材料


  • よつ葉バター(食塩不使用)70g
  • レーズン大さじ2
  • 卵白1個分
  • 砂糖40g
  • ラム酒小さじ1
  • バニラオイル(なければバニラエッセンス)少々
  • クッキー(市販のもの)12枚

作り方


  1. 今回は「よつ葉バター 食塩不使用」を使います。
  2. レーズンにラム酒をふりかけておく。
  3. 「よつ葉バター 食塩不使用」は10gずつに切り分け、室温に戻す。
  4. ボウルに卵白、砂糖を入れ、湯煎しながらハンドミキサーで撹拌する。
  5. 「4」のつやがよくなり、ボウルを逆さにしても流れ落ちないくらいにしっかりとした、メレンゲを作る。
  6. 「5」を湯煎からおろし、「3」を10gずつ入れながら、ハンドミキサーで撹拌し、なじませる。これを繰り返す。
  7. 「6」にバニラオイルを入れて混ぜる。
  8. 「2」を「7」に加え、ゴムベラで混ぜ合わせる。
  9. クッキーを2枚1組にし、「8」のバタークリームを挟む。

POINT:卵白やバターは、しっかりとした撹拌が必要なので、ハンドミキサーを使って作るのがおすすめです。


POINT:バターは切り分けてから室温に戻し、10gずつ加えて撹拌することで、なめらかなバタークリームに仕上がります。


クッキーに挟む以外にもバゲットにのせるなどお好みの方法で楽しみましょう。


ほっと一息つきたい午後のティータイムにもピッタリです。


おもてなしにも◎北海道♪フルーツバター

二つ目のレシピは「北海道♪フルーツバター」です。


北海道♪フルーツバター

見た目の可愛さからおもてなしにもピッタリ!もちろん美味しさも抜群です。


材料


  • よつ葉バター(加塩)100g
  • ドライフルーツ(レーズン、クランベリー、アプリコット、いちじくなど)100g
  • お好みのリキュール(ラム、キルシュなど/水で代用可)

作り方


  1. 今回は「よつ葉バター (加塩)」を使用します。
  2. 「よつ葉バター (加塩)」はボウルに入れ、室温でやわらかくする。
  3. アプリコット、いちじくなど大きいドライフルーツは1.5cm角に切っておく。
  4. ドライフルーツをすべて耐熱ボウルに入れ、リキュールをふり混ぜる。
  5. 「4」を電子レンジ(600W)で30秒加熱し、粗熱を取る。
  6. 「2」と「5」を混ぜ合わせる。
  7. 大きめにラップを広げて「6」をのせ、長さ12cm、直径3.5cmの棒状に包み、両端をとめる。
  8. 冷凍庫で1時間程度冷やし固める。
  9. しっかりと固まったら、ラップをはずし1cm厚さに切る。

POINT:冷凍庫に入れて固まってきたら、途中で取り出して形を整えると、よりきれいに仕上がります。


POINT:バターを室温に戻すには夏は20分程度、冬は倍以上必要です。
急ぐ時は体温程度に温めた布巾をあてるか電子レンジ(100~200W)に約30秒かけてから様子を見て10秒ずつ追加で温めてください。


POINT:指で押してへこむくらいのやわらかさになればOKです。


バターのコクにドライフルーツが醸し出す贅沢な風味をダイレクトに味わえます。棒状のまま1か月ほど冷凍保存もできますので食べたいときに好きなだけ食べられます。


まとめ

本記事では、バターとマーガリンの違い、よくある質問に関して解説しました。


バターとマーガリンは原料や製造方法、、風味などに違いがあります。


バターは主原料が牛乳であり、牛乳特有の芳醇な香りとクリーミーで濃厚な味わいが特徴です。


一方、マーガリンの主原料はコーン油、大豆油などの植物油脂で、あっさりとした味わいが魅力です。


軽めの風味が好まれる場面や、さっぱりと仕上げたい料理に適していると言えます


最終的に、どちらを選ぶかは好みや料理の目的に合わせて決めるとよいでしょう。


バター特有のコクとリッチな風味を楽しみたいならバターを、あっさりと軽めに仕上げたいならマーガリンを使うなど、うまく使い分ければ毎日の食卓がより豊かになります。


また、どちらも食べすぎは健康を害する可能性もあるため、適量を意識してください。


よつ葉乳業では、加塩バター、食塩不使用バター、発酵バター、ホイップしてバターナイフが入りやすい固さにしたバターなど豊富なラインナップを展開しています。


オンラインでの購入もできますので、ぜひチェックしてみてくださいね。


【参考文献】
「一般社団法人日本乳業協会」.https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_131_435/
「株式会社明治」.https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/know/lovable-milk/milk/
「セゾン暮らしの大研究」.https://life.saisoncard.co.jp/health/longevity/post/c458/
「リーレクリニック大手町」.https://www.lireclinic.com/column/%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%8B%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%81%8B%EF%BC%88%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E5%9E%8B%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8%EF%BC%89/
「糖尿病ネットワーク」.https://dm-net.co.jp/calendar/2015/024292.php
「農林水産省」.https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/trans_eikyou.html
「たまひよ」.https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=157838